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10月のおついたちができあがりました。

「秋風の 吹きにし日より 音羽山 峰の梢も 色づきにけり」 紀貫之

~  初もみぢ  ~

 京の秋を彩る錦繍という言葉が当てはまるようになるのは十一月に入ってからですが、早くから「今年の紅葉は…」と、話題になるのも、美しさへの期待からでしょう。春の桜と同様に、秋の紅葉を待ち侘びる気持ちの強いのが京の人たちです。街の樹々も日に日に黄色みを帯びて秋を実感しています。
 そうした中で、梢の先の木の葉が少し赤くなったのを見つけて何かうれしさを感じました。この気持ちを表現したのが今回のお菓子「秋山路」。初めて見つけた小さな秋を「初もみじ」そして「うす紅葉」「山もみじ」「深山の錦」「散りもみじ」と移りゆく秋を感じていただけたら嬉しゅうございます。
 日本のお菓子のルーツは「橘」だという田道間守の伝説(垂仁天皇の勅により田道間守は常世の国で”ときじくのかぐのこのみ”(非時香具菓、今の橘)を手に入れて帰ったところ、すでに垂仁天皇は崩御され、嘆き悲しんだ田道間守は垂仁天皇の御陵に持ち帰った橘を捧げそのまま殉死したというもの)がありますが、それが「栗」だったといっても不思議はないほど、栗は古くから親しまれてきた木の実です。いかついイガに包まれてはいても、何か可愛らしい表現で、黒く焦げた焼き栗や蒸し栗に、まつわる思い出は、誰もが持っているでしょう。秋の到来を知らせてくれる味覚の代表です。この時期、豊富に出回っている栗ですが、これを用いたお菓子は各地で作られています。
 今月のおついたちは、甘くて旨みが濃い栗を浮島生地にたっぷり絞って紅葉の羊羹を散らし、秋の風情を表しました。

otsuitaci_1210.jpg

皆さまのお月見はいかがでしたでしょうか。もう一度眺めたい十三夜の「栗名月」は十月二十七日、店頭にも「栗の実」や「栗ひねり」が並び始めます。秋のおいしいお菓子をお楽しみに。
それでは、今月もお元気で。

元気で生きる  主人 田口 恵美子
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