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 えみちゃんブログ

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12月のおついたちができあがりました。

母やゐるかぎり 火色の つるし柿   加籘 陽泉

霜柱や薄氷を見つけては跳んで歩く。
冬田を堂々と突き抜けて学校へ行く。
布団には湯たんぽが入る。
軒のつるし柿は子供心をそそる。
わかっているがそっと聞く。
「なあ、まだ食べちゃあいけんの?」
干し柿は正月のお重ね餅と共に
神に供えるもの。
それが歳とり柿だ。それまでは我慢。
甘いおやつの記憶はない。
全てが我慢。       
                   松木 幸子

 さあ、本年もとうとう師走を迎えてしまいました。
やり残していること、どうしても本年中にと焦る事などいかがでしょうか。
 
 メトロポリタン美術館展、ツタンカーメン展、ロダンの彫刻展、浮世絵展、漆の器コレクションも是非見たいところですし、足立区の郷土博物館でも、心洗われる「仏像と足立の歴史」展が開かれています。やりたい事、見たいものはたくさんあるのに、もう本年もわずかでございます。
 
 又、お芝居で十二月と言えば討ち入りの「仮名手本忠臣蔵」。武士の世界の義理と町人の世界の人情とが巧みに組み合わさり、何度観ても観客の感動を呼ぶ江戸中期の物語。京都なら大石内蔵助ゆかりの「一力茶屋」で一席。東京なら十二月十四日、高輪泉岳寺の「義士祭」と恒例の仮装行列が見られます。

 …等々、贅沢時間ではありますけれども、芸術、芸能に時間がとれないとなれば、せめて我が家の食卓で「ほっこり」はいかがでしょうか。
 
 江戸前の冬の料理と言えば、ふうふうしながら食べる「風呂吹き」でしょう。風呂吹きと聞いて、すぐに思い浮かぶのが「風呂吹き大根」です。十返舎一九による『東海道中膝栗毛』には、「宮重大根のふとしくたてし宮柱は、ふろふきの熱田の神の慈眼す(みそなはす)」とあり、当時から「ふろふき」には味噌をつけて食べていたことがわかります。江戸料理本の中には、大根だけでなく、葱や蕪など、多くの風呂吹きが登場します。千住ではもちろん、「千住ねぎ」が人気だったことでしょう。江戸時代、千住にヤッチャ場(野菜市場)があり、荒川周辺で採れたねぎがこの市場に集まったことから、その名がついています。身がしっかりと詰まり、甘みの強いこのねぎは、江戸前料理には欠かせない食材でした。今でも、千住にはこのねぎ専門の市場が残っており、ねぎにこだわる店はここから仕入れています。
 
 今月のおついたちには、討ち入りに因んで、内蔵助の二つ巴と討ち入りそばを模したお菓子と、風呂吹きの蕪と葱、それに季節の藪椿を盛り込みました。

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あつあつの「ふろふき」をほおばって、ふうふういう姿が風呂を沸かしている風情に似ていることからとか、風呂滝に使う竹筒の形がねぎや大根の細長い形に似ていたからとか様々に伝わっていますが、思い浮かべるだけで早く家に帰りたくなりますね。今夜は熱々の風呂吹きねぎをふうふうしながら、暮れの大仕事への英気を養ってください。

元気で生きる 主人 田口 恵美子
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11月のおついたちができあがりました。

「おりたちて けさの寒さをおどろきぬ つゆしとしとと かきの落ち葉深く」伊藤左千夫
~  まっ赤な秋に  ~
 
 いま京都の紅葉は真盛り、山々を美しく装っています。
京の紅葉は北国のような寒冷地とは異なり、文字どおり赤、黄、緑と三つの色がそれぞれの特徴を主張しながら織りなす点で、よそでは見られない景色です。
十一月に近づき、ひんやりした空気の、晴れ上がった空を見上げて、今年の紅葉はどこで見ようかと考え始めます。日本はどこへいっても紅葉の名所ばかり、あっとゆう間に見頃を過ぎてしまう紅葉と追っかけっこの紅葉狩りもまた楽しみですが、とりわけ、京都の鷹ヶ峯、光悦寺と源光庵は私のお勧めです。鮮やかな赤と緑のコントラストは言うまでもなく、建築やお庭のつくりも素晴らしく、まるで異空間に迷い込んだような美しさでした。
紅葉を題材にしたお菓子はいろいろ。今月のおついたちは秋の彩り和菓子です。

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職人の感性を最大限に生かして秋の彩りをお菓子にうつしとりました。
赤、黄、緑の三色の錬切りを茶巾絞りにした「唐錦」は、紅葉の美しいコントラストをこれ以上ないほどにシンプルに表現したお菓子です。
お菓子の中でも「山路(山道)」は色の組み合わせで春夏秋冬それぞれの表現がありますが、中でも「秋の山道」は最も色鮮やかな色彩。野趣にもあふれる品の良いお菓子で、小間のお茶にも野点にもよく映ります。餡に「栗」をあわせておりますので、秋の風味を感じていただけると嬉しゅうございます。
イチョウの舞う季節が終わり、冬を待つ間のお菓子として愉しみなのが「銀杏餅」です。傷みの早い銀杏の代わりにずんだの餡を包んだ新粉餅です。上の飾り葉は除いて、香りをお楽しみください。
十一月十五日は七五三。かわいい子供の成長を思わぬ親はありません。健やかに育つことを神仏に祈るのは親として自然の姿です。七五三と言えば“千歳飴”がつきものです。この飴は、短命な子どもが多かった時代、元気で成人することを願う縁起物として売られたのが今に結び付いているようです。本坪鈴の形の桃山「神鈴」と、神社の鳥居の焼き印を押した薯蕷饅頭「お宮参り」は、「七五三」をイメージしておつくりしました。
初霜を表したお干菓子も添えました。秋のすがすがしさを五感で味わってください。

元気で生きる  主人 田口 恵美子
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10月のおついたちができあがりました。

「秋風の 吹きにし日より 音羽山 峰の梢も 色づきにけり」 紀貫之

~  初もみぢ  ~

 京の秋を彩る錦繍という言葉が当てはまるようになるのは十一月に入ってからですが、早くから「今年の紅葉は…」と、話題になるのも、美しさへの期待からでしょう。春の桜と同様に、秋の紅葉を待ち侘びる気持ちの強いのが京の人たちです。街の樹々も日に日に黄色みを帯びて秋を実感しています。
 そうした中で、梢の先の木の葉が少し赤くなったのを見つけて何かうれしさを感じました。この気持ちを表現したのが今回のお菓子「秋山路」。初めて見つけた小さな秋を「初もみじ」そして「うす紅葉」「山もみじ」「深山の錦」「散りもみじ」と移りゆく秋を感じていただけたら嬉しゅうございます。
 日本のお菓子のルーツは「橘」だという田道間守の伝説(垂仁天皇の勅により田道間守は常世の国で”ときじくのかぐのこのみ”(非時香具菓、今の橘)を手に入れて帰ったところ、すでに垂仁天皇は崩御され、嘆き悲しんだ田道間守は垂仁天皇の御陵に持ち帰った橘を捧げそのまま殉死したというもの)がありますが、それが「栗」だったといっても不思議はないほど、栗は古くから親しまれてきた木の実です。いかついイガに包まれてはいても、何か可愛らしい表現で、黒く焦げた焼き栗や蒸し栗に、まつわる思い出は、誰もが持っているでしょう。秋の到来を知らせてくれる味覚の代表です。この時期、豊富に出回っている栗ですが、これを用いたお菓子は各地で作られています。
 今月のおついたちは、甘くて旨みが濃い栗を浮島生地にたっぷり絞って紅葉の羊羹を散らし、秋の風情を表しました。

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皆さまのお月見はいかがでしたでしょうか。もう一度眺めたい十三夜の「栗名月」は十月二十七日、店頭にも「栗の実」や「栗ひねり」が並び始めます。秋のおいしいお菓子をお楽しみに。
それでは、今月もお元気で。

元気で生きる  主人 田口 恵美子
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9月のおついたちができあがりました。

「秋風に置く白露の飽かずのみ 相見るものを月をしまたむ」大伴家持

~ 花 は な の 野 ~

 初秋、見渡す限り秋の草花が咲き乱れた様を、花野と言います。その様子は、生命力の漲る若草が萌える「春の野」とは対照的に、楚々として、どことなく侘びた風情を漂わせています。秋の花が野を埋め尽くす時季は短く、やがて花が消える頃になると、今度は草紅葉。せめて一瞬の美を心に留めておきたいと、日本人は万葉の昔から秋の花を多くの歌に詠みこんできました。萩、尾花、葛、女郎花、藤袴、桔梗、撫子…。日本の秋の花は一種だけ群生するというより、色々な種類の花が身を寄せ合うように咲く姿がとても美しいですね。  
 今月のおついたちは、なお青々とした初秋の緑から、色とりどりの野花、そして褐色に深まりゆく秋をお菓子でおつくりしてみました。
 草むらの中で姿は見えずとも夜毎に奏でられる虫の声をイメージしてきんとんでおつくりした「虫時雨」。秋草に光る露を錦玉寒を散らして g¥表現しました。秋の花野からは錬り切り製の「桔梗」と「小菊」を。「栗よりうまい十三里」さつま芋をつかった素朴な味わいの浮島羊羹「里の秋」。そろそろ色づき始める柿を「青柿」として外郎でおつくりしました。そしてやはり、秋は夕暮れ…。渡り来るかりがねの声が聞こえてきそうな深まる秋の景色には「初雁」。餡玉に艶錦玉を施しました。

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散策の楽しみな季節になってまいりました。よく歩いて、よく笑ってお元気にお過ごしください。

元気で生きる 主人 田口 恵美子
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8月のおついたちができあがりました。

「夕立(ゆうだち)や草葉(くさば)を掴む(つかむ)むら雀(すずめ)」与謝野蕪村
 立秋、つまり八月七日を過ぎた暑さを残暑と言います。「立秋」は、太陽の位置からすれば秋にさしかかりますが、実際にはまだ夏の暑さの頂点にあり、陽射しも強く熱い日がまだまだ続きます。夜になっても気温が下がらず寝苦しい夜が続きます。
 そして月遅れのいわゆる田舎のお盆も過ぎて、8月23日頃になると、二十四節気では
「処暑」といいます。処暑とは、暑さがやむという意味で、まだしばらくは暑いながらも、ようやく朝夕の風に涼しさを感じられるようになってきます。赤とんぼが街に降りてくる時期ですね。夕涼みと言えば浴衣を着せてもらって楽しんだ花火。わたくしは最近少なくなってしまった「すぼ手」の線香花火が大好きでした。火を点けてもらい、牡丹から松葉、柳、ちり菊に至る過程を瞬きも忘れて見つめたものでした。
 
 今月のおついたちは、関東では珍しい「玳瑁羹」(たいまいかん)をおつくりしてみました。蒸した大豆と麹とはったい粉(麦こがし)を混ぜて発酵させ、塩水につけて熟成させた「大徳寺納豆」を使った琥珀羹ですが、塩辛さと琥珀羹の甘さの調和がとれるよう大徳寺納豆を更に練って小粒にして散らしました。大徳寺納豆が自然に溶けだし、にじんだ黒点と琥珀羹の黄色が玳瑁(ウミガメ)の甲に似て見えるので、べっこう羹とも呼ばれます。よく冷やして食べると味が一層引き立ち、夏の滋養にもってこいのお菓子です。「花火」は、錬切り製で、夜空に開く華やかな火花を刷りこみで描きました。「金魚鉢」は可愛らしい羊羹の金魚を寒天よせにしました。郷帰りの楽しみは「ほたる狩り」。こしあんを清流を思わせる錦玉羹でくるみ、ちらちらと蛍を飛ばしています。最近は特に激しく局地的豪雨が多くなりましたが、日中ため込んだ地熱を洗い流してくれる「夕立ち」を、葛と砂糖を練って蒸しあげた葛焼きに、激しい雨足の筋をコテで焼き付けて表現しました。夏の終わりを感じさせる「あきあかね」は、夕焼け色の錬切りでおつくりしました。

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 ほっとする気候までもうひと息、せめて涼しげな夏のお菓子で涼を呼んで、ご自愛の上お過ごしくださいませ。
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